AI甲子園 初開催 最優秀賞は山形西
やまがたAI部では、活動の集大成を発表する場「やまがたAI甲子園」を3月7日に開催いたしました。
初開催となる今回は、オンラインも含めて県内の11校63人の高校生が参加し、会場となったパレスグランデールは、ソーシャルディスタンスを保ちつつ、ドアも開けながらでしたが、生徒たちの熱気に包まれました。
開会に先立ち、AIの第一人者である東大大学院の松尾豊教授が基調講演が行われ、AIによって科学技術の進化が自動化で加速し、IT領域はもちろんのこと、DXが進んでこなかった産業にも影響が及ぶとした上で、進学、就職、起業など様々な面でAIを学ぶことが有益になると話していました。
そして、開会の挨拶、AI部運営コンソーシアム会長の松本の挨拶と続きました。
松本からは、「変化が激しい時代に、若者たちに生き抜くための武器を渡したい。それがAIだ」と創部の背景にある想いを語り、「若者こそが未来をつくっていく。社会変革の即戦力だと考えている。頑張ってほしい」と激励しました。
その後、抽選が行われ、午前中にスポーツAIを選んだ高校、午後にものづくりAIを選んだ高校の発表順が決まりました。
トップバッターの東桜学館から順に発表が始まると、緊張を感じさせない堂々とした発表が続きました。
各高校の発表の際の写真を何枚かご紹介いたします。
プレゼンテーションの模様などは、YOUTUBEでご覧いただけますので、生徒たちの努力の結晶を見ていただけましたら幸いです。
以下に埋め込んでいますが、こちらのリンク先からもご覧いただけます。YOUTUBE
高校生たちの発表には、大人たちが思いも寄らない着眼点や発想、手法があり、完全に予想を超える内容だったといえます。
審査員室では、審査員たちが、口々にレベルの高さを指摘し、甲乙つけがたいと頭を抱える一幕もありました。
全ての発表が終わったあとは、各校の代表生徒と松本代表がパネルディスカッションを行い、活動を振り返りました。
この中で、高校生たちは、取り組む前のAIの印象について、「理解しにくいもの」「大企業の頭のいい人だけのもの」「得体のしれないもの」「難しい」と感じていたそうですが、活動を通じて、「難しいという先入観を持っていたが、身近に感じられるようになった」、「データを入れたらすぐに完成すると思っていたが、人が、作らないといけない。」「AIは、自分で学習する成長スピードが尋常じゃない。使えるようになっていくと面白い」などと印象の変化について、教えてくれました。
生徒たちにとって、AIは、万能なものではなく、人々の暮らしを豊かにするために、活用していくものだというように印象が大きく変わったことを感じました。
また、AIを使って、場所ごとの混雑具合に応じて、リスクを評価し、コロナウイルス感染症を抑えるのにも活用できるのではないかという意見も出ていました。
パネルディスカッションのあと、待ちに待った審査の結果が発表されました。
白熱した戦いを制し、受賞した高校をご紹介いたします。
スポーツ賞 :酒田光陵高校
e-sports班を支援するAIについて発表。リーグ・オブ・レジェンドというオンラインゲームをプレイする際に、どういう声掛け要素が成果に結びつくかをAIを用いて分析し、チーム内での「指示」や「報告」ではなく、行動に「反応」する声掛け(ナイス!、了解!等)を行った場合に、うまく敵を倒せることを導き出しました。声掛け数や心拍数をAIに取り込み勝敗との関係を解析した独創性や、作成したAIの精度検証から考察し、精度向上を試みた点などが審査員から評価されました。
発表の様子
共通テーマ賞(天気予想AI):山形東高校
教師ありロジスティック回帰を用いたクラス分類で、過去17年間の気圧、最高気温、最低気温、降水量の合計、平均気温、更に平均湿度を加えて、指定日の天候を予測しました。AIの考え方をしっかり自分たちの言葉で説明できていたことや、AIに学習させるデータ期間の違いで精度がどのように変わるか検証したことなどが審査員から評価されました。
発表の様子
ものづくり賞 、高校生賞、最優秀賞:山形西高校
かんながけAIでは、校内の技能講師と自分たちがかんながけしたデータをそれぞれ取得し、AIで分析。ロジスティック回帰とクラスタリングによって、どの特徴量が上手、下手に影響しているのかをAIに見つけ出させました。また、学習させるデータに、極端に下手なデータを増やし、AIの判断する精度を向上させました。
上手い/下手に何が効いているかAIに一度判定させ、そのあとで再度AIを組み、AIで上手い/下手を分類させるやり方の妥当性やその中の独創性などが審査員から評価されました。
気象予想AIでは、指定日の2日前までの気象データそのものは、指定日の気象予想との因果関係が薄いことに着目し、線形回帰を用いてAIに指定日の気象データを予想させ、そのデータをもとに、ロジスティック回帰で気象を予想させることで精度を高めていました。
こちらもAIを二段階で利用したアプローチの妥当性や実用性などが審査員から評価されました。
発表の様子